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執筆者の写真服部博明

JSS48(日本超音波検査学会学術集会)in大阪 に参加!2023.06.10~2023.06.11

更新日:2023年12月22日



自身の発表のこと

私は総合部門の一般演題で「クリニックは超音波検査士の新たな活躍の場となるか?」という発表を行いました。

超音波検査学会スライド
超音波検査学会スライド

結論としましては「クリニックは超音波検査士の活躍の場」です。

超音波検査士である必要性は「求められるのが即戦力」であるためです。

しかし、資格取得へのハードルは地域格差が大きいです。研修会や学会の頻度や参加しやすさ(交通費、宿泊費、勤務調整)が地方で人が少ない施設だとどうしても重くなります。

そこでオンラインを活用した教育機会を増やそうということも含めて発表しました。


学会発表では語らなかった想いを少し補足で書いておこうと思います。

これだけだと「超音波検査士」が活躍の場を求めて、自身の利益のためとも受け止められかねませんが、地域医療の充実や総合病院の現状を鑑みるに必要な取り組みだと思います。

本学会のいくつかの講演でも耳にした言葉ですが総合病院では「検査件数をこなすためにここまでの工夫をする時間がない…」という問題があります。


検査件数について、臨床医や経営陣が必要だと考えた件数に対して実際に検査を行う現場と十分に相談することなく、決定事項として現場におろし、現場から「こなせない」という意見がでてはじめて少しだけ減らすということが多いように感じます。これは予約枠を減らしたにすぎず、結局のところ当日オーダーを各診療科が「緊急枠」で入れ込むのでまったく減ったことにならず、患者の待ち時間は多くなり、ひとつひとつの検査に十分な時間がかけられないという問題があります。

また検査時間を純粋に「検査するのにかかる時間」と思っている人が多いですが、実際は患者呼び出し、衣類着脱、ゼリーの清拭、レポート作成も含まれます。

冬季の下肢血管エコーなどは衣類着脱だけでかなりの時間を要することがあります。寒いのでたくさんのズボンを着ており、かつ下肢血管を対象として検査がでているわけですからそもそもスムーズに足を動かせる方でもない場合があります。

各現場で解決するには「件数を減らして時間を十分にとる」「人員と機械を増やす」が解決策の例として挙げられます。しかし各々デメリットがあります。

・件数を減らすデメリット

検査件数を減らすとその分、検査を受けられない患者もでてくること

病院の収益がへること(病院も収益がなければつぶれてしまいます)

・人員と機械をふやすデメリット

人員は湧いてでてくるものではなく教育が必要。教育にも人手がとられ、検査に集中できない。

人件費、機械代が膨大にかかる。

※人を雇ってもエコー機器を入れない病院がありましたが、セットでないと検査件数をこなせるわけがないのはわかるかと思います。


以前、私が総合病院に勤めているときに検査件数について上司に相談したことがありますが「なんとかやってきたんだからなんとかしないと」くらいの根性論の回答でした。実際になんとかしてきたわけですが、精度を保つのが本当に難しいことだと感じたのを覚えています。


ではクリニックとこの現状、どうかかわるのでしょうか?

総合病院の検査と、クリニックの検査を分担すれば良いのではないかという発想です。

総合病院では「精査」を基本としたエコー

クリニックでは「初期診療」と「フォロー」を基本としたエコー

そうすれば、総合病院におけるエコー件数をおさえつつ、町のクリニックに患者が分散するので受けられない患者がでてくる事態も抑えられるのではないかと思います。


しかし、超音波検査士という「即戦力」となる人材がクリニックでエコーを担当している事例は少ないです。特に地方では都会にくらべてもっと少ないために総合病院に人が集中してしまっている可能性があります。

とはいえ、過去30年で総合病院は減少、クリニックは万単位で増加しています。

地域医療を支える要に、クリニックがあり、クリニックの医師と連携することが求められると私は考えます。

そこで今回はクリニックでの超音波検査士の有用性や働くために何が必要かを話しました。


自身の技術を磨くことはもちろんなのですが、こうした問題に対応してくことも超音波検査士として考えていく必要があると思います。


超音波検査学会の感想

開始よりだいぶまえからTwitterの担当の方がいて、注目の演題やイメージコンテスト、他の研修会も含めてしっかりと盛り上げて広報してくれていました。

実際の会もとても良いもので、学びと交流が深められたと思います。

私はある程度の経験を積んだものの、どうしても所属病院ではエコー検査技術が上級者という扱いでいることが多かったので、著名な先生方の走査と自分の走査を見比べる機会が乏しかったのですが、有名な岡庭先生のセッションでその走査をみさせていただき、自分もかけ離れたことをしていないなと確認できました。

また、機器設定の話もあり、私も機器設定を変えながら検査するのが好きなので内心とてもテンションがあがっていました。

健診の立ち上げからのエコーに対する思いを聞けたり、会場にアンケートで意見を聞いたりするものがあったり、充実した会でした。

来年は仙台です。どんな演題をだそうかと楽しみにしています。


久々の現地での大きな学会ということもあって機器展示もすごく充実していました。

私がうかがった中ではCanonのスタッフさんがすごく丁寧に対応してくださって、機器の情報も色々と知ることができました。現在は減衰法(脂肪肝の判定に使用)がトピックとしてありますが、診療報酬点数として認められたもののまだどのメーカーの機器も点数をとって良いものとして承認されていないようで、せっかく良い技術で脂肪肝からの肝硬変や肝癌をフォローし得るものなので早く承認されたら良いなと個人的に思っています。

あとはFujifilmさんが話しかけてくださって、エコープローブの洗浄機をみせてくれました。救急外来の現場など感染に気を遣うような場所でとても効果的だと感じました。

煩雑な操作も要らず、セットするだけというのも良いポイントです。

クリニックが主な働き場所な私にとってはハイエンドの機械というよりは汎用機がメインに扱うものとなりますが、現在使用しているAplio300で十分にみえるものがどんどん高解像度でみえることに感動しつつ、その裏でアーチファクトのおかげで目立っていた所見はみえにくくなっているのかもしれないので今まで有用とされていた所見を見直しながら機器と向き合っていく必要があり、それも面白いことだと思いました。

⇓自撮りが下手な図

超音波検査学会 写真
超音波検査学会 写真


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