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執筆者の写真服部博明

腹部超音波検査のトレーニングついてのアドバイス

腹部超音波検査

超音波検査を学びたい!

超音波検査をしなければならなくなった…

そんなとき指導者がいつもそばにいてくれたら良いのですが、そうではないケースも多々あります。

タスクシフトが進み、医師以外の職種が超音波検査に従事することが求められるものの、超音波検査を学ぶ環境が整っていないことも多いです。

そんなとき、どうやってトレーニングを行うべきか悩んでしまい、不安になってしまいますよね。

そんな方の悩みを少しでもこの記事が解決するきっかけになればと思います。


アドバイスとして参考にしていただけたら嬉しいです!


アドバイスその1 - 一気に全部やろうとしない。


超音波検査をはじめるにあたって学ぶことはとても多いです。

〇腹部の解剖

〇プローブの走査法

〇超音波装置の機能

〇疾患

〇疾患に特徴的な超音波像

〇レポートの書き方

〇緊急所見の対応

・・・あげればきりがありません。

これを最初から一気に行うことはとても困難です。

もちろんすべてがある程度できることが望まれますが、トレーニングの段階では段階的に行った方が良いものがあります。


アドバイスその2 - 解剖・走査法・最低限の機能から学ぶ


まずは解剖学的なところ、そしてそれを描出するための走査法から学びましょう。

疾患については後からです。また疾患の超音波所見も、適切な走査法で臓器を描出し、良好な描出ができていなければ得ることができません。

まずは基礎を固めることからはじめましょう。

解剖も【超音波検査士】に求められる細かいところより先に、臓器の大まかな位置関係からです。肝臓と胆嚢、胆管、膵臓の関係性、腎臓や尿管、膀胱の関係性、それぞれをざっくりと把握し、どこにプローブをあてたらどのように臓器が描出されるはずなのかを思い浮かべましょう。

解剖というと腹部の細かい血管まで最初から知ろうとしがちですが、それはアドバンスドコースです。血管をみるなら静止画で断面的にみるのではなく、どこからつながってどこに分岐して~と追っていく必要があります。もちろん大きな血管【腹部大動脈】【上腸間膜動脈・静脈】【門脈】などは大事なので意識する必要がありますが、初学者ほどそれらから分岐した小さな血管にまどわされてしまいます。

まずは大きなものを目印にしましょう。


最低限の超音波検査機器の機能としては

【周波数変更(プローブ変更含む)】【ゲイン】【デプス・ズーム】【フォーカス】があげられます。

特にデプスは意識しないと、やせ型の方で画面にほとんど臓器がうつってない状態で検査を続けてしまうと病変を発見することができません。

例えるならとても航空写真で道をあるいている人間をみつけようとするようなものです。


走査法のコンテンツははっとラボでも用意しております。




「しっかりした土台がなければ積み上げたものがくずれてしまう。土台とは4つの基本【圧迫】【体位変換】【呼吸調整】【アプローチ方向】」 - 服部博明

4つの基本は服部が考える腹部超音波検査の土台です。

これができていれば様々な場面でどうやってスクリーニングするべきか、どうやって良好な描出を得るか考えながら検査ができます。

アプローチ方向を考えるために【解剖】が必要になります。


アドバイスその3 - 臆せずやってみよう


実際に座学で参考書などで学んでもピンとこないこと、ありますよね。

学んだことを実践してみて調整する。

頭だけでなく身体で覚える。

これが上達へつながると思います。

そしてなぜ解説通りにできないのか、考えてみることが大事です。

上級者の人は膵臓をぱっとだせるのに…自分は出せない。何が違うのかな?

もしかしたらプローブを当てる位置かもしれない。呼吸調整の仕方かもしれない。圧迫かもしれない。解説されている中で自分が達成できていないものはどれだろうと考えてひとつひとつトライ&エラーを繰り返すことが大事です。


とはいえ練習を患者さんの検査で行うわけにはいきません。

勤務先のスタッフに協力してもらったりハンズオンを利用しましょう。

山陰の方限定で、曜日や時間が限られてしまいますがはっとラボでもハンズオンができるしくみは作っています。

これがもっと他の地域の方が研修しやすいシステムが整えば理想ですけど、なかなかむつかしいですね。


アドバイスその4 - 土台ができたらステップアップ!


良好な描出ができるようになってはじめてスクリーニングができます。

扇状走査で正常と異なるものを発見する練習に入ります。

これは実際に疾患がなければ難しいのですが、やはり患者さんで練習というのも…

ということではっとラボの病変を発見しようシリーズで目のトレーニングを行い、実際に検査するときには発見ができるようにしておくのが良いかと思います。




アドバイスその5 - 発見までできたら次に評価!疾患の知識!


発見できるようになって最後に、その病変の評価のための知識が求められます。

色々な疾患がありますよね。すべてを網羅するのは一人の人間にはとても酷なことです。

一番大事なのは【緊急性】【悪性】の判定です。

そのポイントをまず抑えることから学びましょう。

腹部超音波検査の緊急性を伴う疾患にはどんなものがあるかな…

各臓器の悪性疾患の代表にはどんなものがあるかな…

それをおさえた検査を行います。

このあたりは日本超音波医学会のガイドラインや、私の行っているセミナーなども活用してもらえたらと思います。


アドバイスその6 - 機器設定を深めよう(ステップアップしてから)


最低限の機能に加えて、ダイナミックレンジや各メーカーの機能も使えるようになるとぐっと認めた疾患の評価がしやすくなります。

土台がしっかりしていてはじめてこの+αの機能が十全に力を発揮できます。

まずは土台を固めましょう。



まとめ 


指導者がいるのであればその方に教えてもらった通りにまずはやってみるのが一番ですが、そうでない場合、まずは土台を固めてから疾患や+αに進むのが良いと思います。

一気に全部やろうと思うと、大変です。

まずはプローブの持ち方や圧迫などの走査法、解剖を意識して今自分はどこを撮像しようとしているのかということを意識するのが良いかと思います。




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