11月2日、3日に鳥取市で開催された第57回日臨技中四国支部医学検査学会に参加してきました。
2日は大雨で電車がとまり、道路も通行止めの中、様々な方法で多くの参加者が参集し、悪天候にめげない熱量が高い学会だったと思います。
私は2日のみの参加でした。
チーム医療について
印象的だったのはチーム医療をテーマとしたランチョンセミナー1でした。
通常のランチョンセミナーではない企画で、臨床検査技師の講師と看護師の講師がそれぞれお話され、途中で座長を含めた寸劇を行うことで実際の現場が想像しやすく、討論会形式にすることで理解を深めることができました。
もっと臨床検査技師ができることがある、それを輸血や救急の現場などにも活かしていくという前向きな話でした。例えば輸血の同意書などもそれに含まれると。
以下、講演について私視点で考えてみました。
私個人で動く場合、クリニックに臨床検査技師は私ひとりですので、その場その場でできることを医師や看護師と協力して行うことが可能です。
例えば、エコー検査を行っている患者さんについて準緊急所見を認め、症状も強そうなとき、エコー検査を行うものとしての対応と、その後の医師、看護師が対応できるまで患者さんの容態が変化しないか付き添ったり、搬送にデータが必要なときのCD-R作成であったり。
しかしこれが総合病院の検査部というチームで起こった場合はどうだろうかと考えました。
病院では多くの患者さんがいて、ひとりの技師が自己判断で付き添いまで行うとエコー検査がストップしてしまいます。他の技師に助けをと考えても、状況のわからない他部門の技師が付き添いやエコー検査を代わることも難しく、そもそも地方の病院ではデータ上では人員が足りているようにみえて意外とカツカツで検査をまわしていることもあります。
故にその現場に出会ったとき、どう行動すべきか迷ってしまう臨床検査技師が多いのではないでしょうか?
アンケートに、積極的に多職種と連携できない弊害は何を考えるかとありましたが、私はこういった事情もあるのだと考えます。
そう考えると、個人個人に対してこんなにできることがあるんだと教えてくださった今回のランチョンセミナーはファーストステップで、次のステップとしてそれができる体制作り、チーム作り、検査部として医師や看護部と議論を交わし、システムとして運用していく術の共有が求められるのではないかと思いました。
現場の技師が単独でいろいろと手を出してしまうと、必ず問題が生じます。
システムやルールにある程度幅をもたせていろいろできるようにはしつつ、各職種の最優先事項は何かを明確にしておかなけば、同意書を所得しようとしたばかりに肝心の輸血検査が進んでいないなんてことも想定されます。
なかなか短時間でこのようなことまで言及することはできませんので、講師の方々への反論をしたいわけではなく、講師の方々の話をきっかけに私の考えたようなことも議題にあげてより良いチーム医療を目指すきっかけになっていけばと思いました。
教育講演 なりたい自分になる生き方
臨床検査技師として働いているとどうしても検査技術ばかりに目が行ってしまいますが、人間社会で生きていると様々な問題に直面します。
どう生きるかといった軸を定めたり、考えたりすることによって培った技術も活かしていけますし、今後の医療の変化にもついていけるのではないかと思います。
そういった点でこの教育講演はとても参考になる話ばかりでした。
この講演にも高村先生が認知症関連の資格で培った知識が散りばめられており、こう言った場面でも学んだことが活きており、地域でもこうやって認知症予防に尽力されているのかと感じました。
テーマの中に【逆境】があり、これは1日の中でも何度も遭遇しているものだそうです。
その時、自分はどうするのかといったことを高村先生の今までの人生のそれぞれのステージでの逆境を提示しながらお話してくれました。
絶好調なときほど、逆境を他の人に与えている可能性があることも身に沁みました。
なかなかこういった講演を聞く機会のない方が多いと思います。
これから検査室から外に出ることが求められている臨床検査技師にとって活かしていける話ばかりですので、機会があれば高村先生の講演を聞いてみてもらいたいと思います。
学会のテーマ~新時代~
個人的に臨床検査技師という資格はとても幅広く他の資格にない強みを持っていると思います。
よく【独占業務がない】ことが問題視されますが、逆手にとるとひとつの業務に縛られないで可能性を模索する余地が残されている職種とも考えられます。
これが独占業務!となってしまうとそこに固執してしまう可能性があり、それを失わないことに力を注いでしまいますが、ないことによって、今後の技術の発達で人間がやらなくてもAIやロボットがやってくれることは任せてしまい、人間がやった方が良いことにシフトしていける職業なのだと思います。
しかもそれは日本の臨床検査技師だからこそです。海外だと臨床検査技師は検体検査のみで生理検査などができない国もあります。
日本の臨床検査技師は生理検査もできれば、神経心理学的検査もできる。MRIも携わって良いし、嗅覚や聴覚の検査も担えるのです。
検体検査でもAIやロボットのメンテナンスやより良い判定となるようにデータを収集、分析し、あたらしい情報をインストールさせるエンジニア的な立ち位置も生まれるかもしれません。
きっとこれから新時代がやってきても、その時々で他の職種では賄いきれないところを担っていける職業となると考えています。
どんな風に活躍をしていくか、きっと病院内だけではなく地域、全国とたくさんの人と会って議論していくことが重要なのではないかと思います。
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