こんにちは。
はっとラボで服部流の腹部エコーの基礎としてプローブ走査をまとめた動画を作成しました。
約1時間30分の動画ですが、冒頭17分程度をYoutubeでみることができます。
各臓器での服部のプローブの持ち方や走査の仕方が動画付きで解説してあります。
撮像順に悩むという声もききましたので、服部の撮像順も紹介しています。
Wixの仕様上、$表記での販売となってしまいますが日本円で約3000円程度です。
この動画を作ろうと思った理由
腹部エコーのプローブの持ち方や走査方法は意外と詳しく語られていることが少ないように思います。
見て覚えるという職人肌な指導が多いなと感じます。
参考書などでも、自身にあった方法を模索するべきという記載がありますが、どういった持ち方がどういった効果をもたらすのかは深堀されていませんでした。
著名な先生方の動画はメーカーの公式ホームページで閲覧できますが、やせ型できれいに臓器がみえる被験者に対する走査がメインで日常で描出できず困る症例に適応しにくいと感じました。
そこで今回の動画は日常の検査でよく出会う中肉中背の被験者の方にお願いして撮像したものです。やせ型にくらべて「圧迫」がキーワードになります。
服部流では4つの基本、すなわち
①圧迫
②体位変換
③アプローチ方向
④呼吸調整
が良好な画像を得るために必要だと考えています。
今回のプローブ走査の動画は「圧迫」をメインに解説しています。
動画の対象者
初学者の方はもちろんですが、ある程度経験を積んだけれども描出に苦手意識がある方やよりベテランの検査者なら描出できるのに自分では難しいと感じている方にも参考になるものだと考えます。
自画自賛で恐縮ですが、プローブ走査・持ち方についてこの動画ほど詳しく考察して実践し、言葉にしたものはなかなかないため、良い資料となったと考えます。
撮像にこだわる~これからのAI時代も考慮して~
ここからは少し余談です。
良好な画像を得ることは自身が病変をみつけること、みつけた病変を評価するために必要なことであり、他者がその画像を評価するにも必要なことです。
近年(2024年現在)のトピックとしてAIがあります。
AIは多くの画像データを集積して、病変の有無の判定、病変の鑑別を行うことを人間に代わり判定してくれるようになるかもしれません。
実際に近年のエコー機ではたとえば心臓領域で拡張障害を疑う場合に追加でTRの計測もしてくださいみたいな表示がでるなど、AIとまでいわずとも機械が判定して検査者に提案してくる時代がきています。
では人間はただ画像をとるだけになるのか、不要になるのかと言われるとそうではないと考えます。
AIが判定するには「良好な撮像ができていること」が前提条件になるかと思います。
ひとくちに良好とはいってもいろいろな体型、疾患の患者さんがいます。その患者さんごとに評価に耐えうる画像を残す必要があり、どのラインが良好といえるかは変わるかと思います。画像をみる個々人でも良好のラインは異なるかと思います。
すべての症例で学会でみかけるチャンピオンデータのような画像が残せるわけではありません。
今後の良好の定義は「AIが正しく判定できる画像」になるかもしれません。
その時に「撮像技術」を磨いておくことでAIに正しく判定させる画像を得ること、そしてAIが判定できずとも人間がこの撮像法でここまでアプローチできて、こういった所見があるということは…と考えて判断していくことが求められるのではないかと思います。
AIをうまく使いつつ、AIにできない撮像やその撮像をしたからこそ得られる所見などを総合して判断し、主治医とディスカッションできるような技師になれたら良いのではないかと考えます。
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