2024年9月27日~29日にパシフィコ横浜ノースで開催された第13回認知症予防学会学術集会に参加してきました。
さらにその中で併設された第2回認知症予防専門臨床検査技師育成セミナーを受講しました。
超音波がメインの私がなぜ?と思われたかたもいらっしゃるかもしれませんが、認知症という領域において超音波も大きな役割を果たします。
そして私がいる鳥取県は実は認知症領域でとても有名な浦上先生がいらっしゃる県であり、私も学生時代に講義を受けていたことから興味をもっておりました。
認知症予防専門臨床検査技師は日臨技が発行する認定認知症領域検査技師の資格保有者を対象とした資格制度で、今回のセミナーは
認知症予防のためのエビデンス創出とそれに基づいた実践活動、認知症予防のための人材育成、多職種協働・地域連携に対応できる“臨床検査技師制度”として発足させ、認知症予防に積極的に関与できる臨床検査技師の育成を行うことを目的とする
とされています。
鳥取県は人口最小の県であり、少子高齢化の進んだ高齢者が多い地域です。
認知症という疾患に対して、臨床検査技師ができる、考えていけることがきっとたくさんあり、その取り組みが今後、都市部で少子高齢化がより進んだ時の参考になるのではいかと考えています。
鳥取県で学術的なことや大きな取り組みは先述した浦上先生の研究室があり、そこに所属する先生方が為されるだろうと思いますが、私のような超音波を主体としてフリーでクリニックを主な職場として活動するものだからこそできることもあるかもしれないと思っていろいろと考えております。
認知症予防専門臨床検査技師セミナーを受講した感想
詳しい内容は書けませんので感想です。
一番感じたことは「人との関係性」作りや「社会実装を目指すために一緒に考える」という「人とのつながり」を大事にしていることでした。
講演パートとグループワークパートがあったのですが、グループワークに入る前にちょっとしたレクリエーションを挟むことで先に参加同士が初対面な状態からちょっと一緒に話したことある人という形に関係性を作ってからグループワークでディスカッションに移る流れでとても良いなと思いました。
進行してくださる方々も壁を感じず、親近感が持てるような話し方であり、こういった気遣いや意識がきっと実際に認知症にかかわる患者さんやご家族に接する上で活きていくのだろうなと感じました。
普段の働き方や働くフィールドが違う人たちが集まって意見を出すことで自分では思いもつかないような意見もでてきて、それがまたとても参考になりました。
セミナーではこの発言は控えましたが、フリーランスだからこそ思うのかもしれないことで少しここはいつかみなさんが考えていく必要があることとして「継続性」「資金」があるように思えました。
今はまだ認知症予防に関する取り組みの社会実装を目指すという目標のために各人が各地で試行錯誤していることを共有する段階なので、問題ないと思うのですが、ややボランティア的な活動に寄っている印象でした。
日本は特に「お金」を要求することが卑しいことだと思われてしまいがちですが、私たち医療従事者も生活があり、家族があり、生きていくために、そして活動していくためにもお金が必要です。ボランティアの活動と、賃金が発生する本職とであればどうしても本職を優先しますし、ボランティアの活動が拡大して忙しくなってもそれを本職とする人はよほど余裕がある人に限られてしまい継続性がない取り組みになってしまうような気がしていました。
単発で終わらせず、繰り返し実施すること、人々の日常の中にその活動によるエッセンスが溶け込むことで「予防」に近づいていくのではないかと思います。
また本職が忙しい時期になったから、毎年やっている取り組みとはいえ今年はちょっと…と取り組みが中断する、または無理にやってしまい人員が疲弊し、その取り組みに交わることが嫌厭されるということにならないかという心配があります。各県の技師会活動が現在、そのような様相かと私は考えています。
行政を取り込んでその力を借りるための実績作りとしての活動とするのか、民間としてやっていくのか、技師会としてやっていくのかいろいろと課題があると考えます。
私も私なりの立場で、今後のことを考えつつ、認知症予防という領域に携わっていきたいところです。
感銘を受けた言葉
セミナー中に「この資格を活かしていける場面がきっとあるはず」という旨の言葉をいただきました。
資格に対してのこの考え方がとても大事だと思います。
誰かがその資格があれば活躍できるようにしてくれるわけでも、学会や技師会がそういったフィールドを用意してくれるわけでもなく、資格を取った個人がその資格をいかに活かしていくか模索して、それを共有することで「こういった活かし方があるのか」と誰かの参考になり、その誰かも同じく共有していくことが大事だと思います。
ただ待つのではなく、どうやって活かそうかな?と考え続けること。学会や技師会自体がフィールドを用意するのではなく、学会や技師会を通じてみんなでそんなフィールドを作っていくことがきっとこれからの臨床検査技師にとって良い方向に向かっていく考え方ではないかと改めて考えさせられました。
私の座右の銘に「待て、しかして希望せよ」という言葉があります。
待て とありますがただ待つのではなく、希望をもって、考え続けながら来るべき時にしっかり動けるように待つのです。
※この言葉の原作は「モンテクリスト伯」という1844年頃のアレクサンドル・デュマによる作品で、本来はかなり宗教的な価値観を含む言葉ではありますが、私は上記のような解釈をしています。
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